お盆は、浄土からこちらへ戻ってこられる
ご先祖様や亡くなった方々をお迎えし、
供養する期間です。
大体7月15日を中心行う地域、
8月15日を中心に行う地域、
旧暦でお盆を執り行う地域と、
地域によって日にちが異なります。
同じく、お盆の行事は
地域によって大きく違いがあるので
心に留めておきましょう。
お盆で思い浮かぶものはなんでしょうか?
親戚が集まって賑やかに
飲み食いする風景でしょうか。
暑い真夏の太陽の下、お墓に参って
手を合わせたことでしょうか。
きゅうりやナスの馬や牛、迎え火、
そして京都の大文字焼きに見られる
送り火などを思い浮かべる人もいるでしょう。
きゅうりやナスの馬や牛は「精霊馬」と呼ばれます。
ご先祖様が早足の馬にまたがり
あの世から早く帰ってくるように、
帰りは牛に荷をたくさんのせて
ゆっくりとかえるように、
きゅうりの馬とナスの牛を用意します。
送り火、迎え火はご先祖様が
迷わずに帰ってこられるように、
また浄土へ見送るために行われます。
提灯も同じ意味です。
迎え火は夕方の日が暮れかかる時間に焚きます。
馬に乗ってくるのだから、よく見えるように
まだ日が完全に暮れないうちに
帰ってきていただけるように。
帰りは、逆に
日が暮れて暗くなってから行います。
できるだけ長く家にいていただいて、
ゆっくりと進む牛に荷車を引かせて
ゆっくりと帰っていただきます。
お盆は各地域により行うことに大きな違いがあり、
その理由は、実は古来から伝わる
祖霊信仰と仏教が融合した行事だから。
お盆は仏教だけの行事だけではありません。
地域により、時期に差異があったり、
行事に大きな違いがあります。
地域や宗派の違いによって
用意するものが異なりますので、
親しい方に伺ってみても良いですね。
お盆にはどちらかだけ用意したらだめ?!迎え火と提灯・迎え火の意味から学ぼう!
迎え火はあの世からこちらへ帰ってこられる方が
迷わないように玄関先で火を焚きます。
迎え火に用いるのは
「オガラ」という剥いだ麻の茎です。
麻は清浄な植物とされており、
それをたくことで、悪いものを清めます。
オガラは焙烙と呼ばれる素焼きの平皿で焚きますが、
なければ耐熱性の高いお皿や灰皿でも代用できます。
火種はお墓参りした際にもらってくる、
という地域もあります。
お墓参りの際に
火を焚きそれをロウソクや線香に移して、
迎え火の火種とするのです。
同じようにお寺からもらってくる地域もあります。
ご先祖様は迎え火の煙に乗って、
家の中に迎え入れられます。
家の者が玄関先でたいた火を
跨いで家に入ることで、一緒に
ご先祖様も家の中に入ると言われています。
提灯も帰ってくる方々の目印です。
提灯の明かりを頼りに帰ってこられます。
提灯は送り火の変化形として、
鎌倉時代から行われています。
軒先に提灯をつるすことにより、
「ご先祖様が滞在されている印」となります。
送り火は、お盆に帰ってきたご先祖様を
あの世にお送りするために焚きます。
迎え火と同じように、
玄関先でオガラを焚きます。
この時、家の者が玄関から送り火の火を
跨いで出ることで一緒にご先祖様も
家から出ると言われています。
京都の大文字焼き、
全国各所で行われている灯籠流し、
精霊流しも送り火の一種です。
近年では、住宅事情などの理由で
送り火を焚かずに
提灯のみで迎える家庭も増えています。
お盆の迎え火の意味がわかったらこちらが疑問?!提灯が持つ意味とは?
迎え火はご先祖様がこちらへ帰ってくるための目標です。
オガラを焚いた煙に乗って帰ってくると言われています。
提灯は、鎌倉時代から行われている
送り火の変化系です。
提灯は故人の冥福と感謝の気持ちを込めた
供養を表すものです。
また、盆提灯は、供物として、
最高のものという位置付けになります。
盆提灯はお盆の間中必ずつけます。
大体、夕方から夜間にかけて点灯しますが、
家や地域によっては一晩中つけっぱなしのところや、
盆提灯の明かりを絶やさない家庭、
朝と夕方のみつけるなどまちまちですので、
その家の風習や地域の風習に合わます。
火事には十分な配慮が必要です。
盆提灯は、迷わず帰るように目印として
かかげるだけではなく、お盆の供養を表します。
模様が入った提灯は、祖先の霊に対する
「おもてなし」なのです。
地域によっては、お墓参りの後墓前で
盆提灯に火をつけて、祖先の霊を自宅まで
連れていくといった慣しがあります。
新盆では初めて帰ってくる故人が
迷わないように白提灯を吊るします。
軒先や玄関前、仏壇の前などに飾ります。
白提灯を飾るのは新盆だけです。
白提灯は一つだけあればOK。
盆提灯と違い、白提灯は身内が用意します。
白提灯は新盆だけのもの。
盆提灯とは違い、新盆が終われば処分します。
以前は送り火で炊いて処分したり、
菩提寺に供養をお願いして処理していましたが、
現在では難しいため、ほんの少しだけ火を入れて、
すぐ火を消し、新聞紙に包んで
自治体の処分法にしたがって処分します。
盆提灯は、毎年使うものなのでホコリを払って
綺麗にしてから来年まで保存しておきます。
盆提灯も迎え火と同様、祖先の霊が
迷わずに家族のもとへ帰ってこられるように、
目印として掲げるのです。
まとめ
現在、迎え火送り火は
住宅事情からできない家庭が増えています。
しかし、気にすることはありません。
要は「気持ちの問題」なのです。
迎え火をしたのに、
送り火ができなかった場合も同様です。
できなかった時には、
仏壇に手を合わせるだけでも良いですし、
気になるなら、後日改めて
送り火を焚いても良いでしょう。
住宅事情から
火を扱うことが難しいのであれば、
提灯を飾るだけでも構いません。
「ご先祖様に感謝する心」
「故人を忍ぶ気持ち」が最重要であって、
これらに付随する諸々のことは
「気持ちを表すもの」なのです。
もちろん、用意するものには
いろいろな意味があります。
それを蔑ろにして良いとはありません。
しかし、無理をすることもありません。
大切なのは心です。
特別何かできなくても、ご先祖様や故人は
感謝の気持ちを込めて手を合わせるだけでも
喜んでくれるとは思いませんか?