クリスマスローズは、冬の
花の少ない時期に咲きます。
本来は白いはかなげな白い花、
ヘレボルス・ニゲルのみを
クリスマスローズといいますが、
日本ではヘレボルス属を一括りにして
クリスマスローズと呼びます。
ヘレボルスは、日本名は
雪おこし、寒芍薬となんだか
可愛らしい和名がついています。
日本へ入ってきたのは、明治の初期。
そのころのヘレボルスは
地味な印象の花で、和風の庭木の下に
ひっそりと植えられたり、
薬用植物として栽培されていました。
変わったのは平成に入った頃です。
イギリスなど欧州で盛んだった
ヘレボルス属の品種改良によって
華やかな花になっていた
「ヘレボルス・ハイブリット」を
一人の園芸家が日本に持ち込んだことから、
日本でも栽培が盛んになりました。
ここで、少し脱線しますが
ヘレボルスの歴史を少しだけ。
ヘレボルスは毒があります。
名前も毒に由来したもので、
ギリシア語で「殺す」「食べ物」からの
造語がその名となっています。
古くから毒薬として暗殺などに用いられ、
世界初の化学兵器として
使用されたのもこのヘレボルスでした。
中世の頃には、悪魔払いに用いる花、
精神疾患の治療薬と
可憐な花には似つかわしくない
恐ろしい背景を持っています。
そんな恐ろしい花に
「クリスマスローズ」という
可憐な名前がついたのは、
クリスマスにおきた奇跡の逸話によります。
話は、イエスキリストが生誕した
頃に遡ります。
聖母マリアがキリストを産んだ時、
羊飼いの少女はお祝いに
何か送贈りたいと考えました。
しかし、少女は貧しい身の上で、
さらに、野原には花の一輪も咲いていない。
途方にくれた少女の頬に涙が流れました。
その涙が土に落ち、そこから
純白の俯きがちで可憐な薔薇に似た
ヘレボスニゲルが咲きました。
少女はその花を持って、
イエスキリストの誕生を
言祝ぐことができたのです。
これが、クリスマスローズが生まれたお話です。
そのため、本来なら、クリスマスローズは、
ヘレボルス・ニゲルのみを指します。
欧州に行って、
「クリスマスローズが見たい」
と伝えると、ヘレボス・ニゲルしか
見せてもらえないので要注意ですよ。
今や世界中に愛好家がいるヘレボルスは
ハイブリッドの品種が生まれたことにより
世界中に広がりました。
今では八重やバラのような花弁を持つもの、
さまざまな美しいカラーを持つものなど
種類がたくさんあります。
クリスマスローズは
咲く時期からも分かる通り、
暑さに弱く寒さに強い花です。
そのため、北海道は
クリスマスローズにとって
ありがたい環境と言えます。
しかし、北海道と一口に言っても
北海道は広く地域によって
気候も土壌もかなり変わります。
積雪が多い道央、
積雪はさほどではないが
とにかく気温が低い道東。
本州の気候に近い道南、
厳しく凍てつく道北・・
どこで栽培するのかによって
栽培方法は変わりますので
注意してくださいね。
クリスマスローズの育て方の基本を確認!北海道では鉢植え、庭植えどっちがいい?
クリスマスローズを北海道で植える場合、
鉢植え、庭植えどちらにも対応します。
土壌や環境によって選んでくださいね。
庭植えの場合には、
ガーデンハイブリットがおすすめ。
植える時期は雪解けした後、
5月中旬をめどに植えましょう。
水分が多い場所が苦手なので、
雪解けが終わり、土が乾燥してきた頃が
良いとされます。
北海道は寒さが厳しいため、
しっかりと根を張らせることが大事です。
腐葉土や堆肥を十分にすき込んで
植えてあげてくださいね。
乾燥した、1日のうち半分ほど日が当たる
半日陰になるような場所が適切です。
水はけがよくない土壌だと、
根腐れを起こすので注意してくださいね。
鉢植えにする場合には、
室内で育てるのはやめましょう。
北海道の室内は温度が高く、
ヘレボルス属にとって辛い環境です。
寒さには強いですが、
暑さにはめっきり弱いので、
土が凍らない程度の、
風の当たらない場所におくのが最適です。
玄関の風除室など気温が低くて、
風が当たらない場所に鉢を置くのが
ベストですね。
ガーデンハイブリット種なら
雪の下で越冬させることも可能です。
凍結しないように気をつけてくださいね。
クリスマスローズの育て方・注意点をチェック!北海道ならではの注意点は?
北海道で栽培する場合の注意点は、
雪解け水。
乾燥した場所を好む花なので、
雪解け水がたまる場所では
根腐れをおこしてしまいます。
また、積雪が多い場所であれば
雪囲いなどの対策があっても良いでしょう。
あまり冷たい風の当たらない場所に植えて、
雪囲いしてあげれば
次の年も花を楽しむことができます。
寒さには強いですが、
日本海側沿岸などのように
強風が吹く地域では、
保温してあげると良いでしょう。
鉢植えの場合には、決して暖かな
室内に入れないようにすることが重要です。
寒い場所を好むので、花が弱ってしまいます。
外に鉢を置く場合には、
強風で鉢が倒れたり、雪で倒れて
しまわないような注意が必要です。
鉢植えの場合、水槍にも
気をつけてあげてください。
寒さが厳しい季節には、
水やりは晴れた日の午前中に行い、
あげた水が凍結しないように注意します。
また、植え替えした時に、
霜が当たらないような時期に
することも肝要です。
まとめ
耐寒性が高いクリスマスローズは
北海道でも屋外で栽培が可能です。
開花時期は残念ながら
クリスマスとはいきません。
3〜5月頃に開花します。
しかし、可憐で俯きがちな花が
花壇にあると風情があり、素敵ですよね。
クリスマスローズは、
帯広の紫竹ガーデンや札幌の百合が原公園、
新ひだか町花工房夢織で見られます。
お近くなら一度、北海道の地で栽培された
クリスマスローズを鑑賞しに
行ってみてはどうでしょうか?
植え方の参考話も
聞くことができるかもしれません。
ヘレボルス属には毒があります。
栽培する時には毒で皮膚がただれないように
長袖手袋の着用を忘れないようにしましょうね!